君は、ときどき悲しそうに、どこか遠くを見つめている。
何を見つけたのか、まるでわからない。
どんなに近くにいても、そんなときの君は別の世界にいる。どんなに頑張っても、俺はその中に入ることができない。
もしかしたら、俺と一緒にいるのがつまらないだけなのかもしれない。
「つまらない?」
口にしちゃいけない言葉だったみたいだ。
君は、息を飲み込んで、ただ首を横に振る。何も言わない。
ときどき何も言わない。
いつもみたいに、おしゃべりじゃなきゃだめだ。
いつもみたいにくだらないことで笑っているのが君らしい。
静かな君は、まるで別人で、困る。
「面倒臭い?」君が聞く。
「ああ、面倒臭い」いつもの調子で蹴りを入れたらいい。
「ごめん」なにが?
思わず、眉間に力がこもる。
「なんでもない」その顔でなんでもないはない。